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コラム

水上 学
水上 学

水上学の競馬雑記帳

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2015年03月25日

第13回 「思い出の名馬」

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 JRAが発行している月刊誌「優駿」の2015年3月号に、「未来に語り継ぎたい名馬ベスト100」の読者投票の結果が発表されていました。
 前回は2010年に行われたそうですが、その時の1位だったディープインパクトが今回も1位で連覇達成、以下2位オルフェーヴル、3位オグリキャップ、4位ウオッカ、5位サイレンススズカ。この手の投票は、どうしても時代が近い馬に票が集まってしまうものですが、それを踏まえれば、25年前に引退したオグリキャップの3位はスゴイと思います。
 なおベスト10に入った馬の中で最も古いのは第7位のシンボリルドルフで、これがちょうど30年前となります。これもまた素晴らしい。オールドファンが、票をルドルフとオグリに集中させたのかもしれないですね。

 こういう企画を見るたびに、どんどん自分が昔リアルタイムで見た名馬の順位が下がり、あるいは消えて行くという現実に直面して物悲しい気分にもなるのですが、それも時の流れ、逆らうことはできません。

 いろいろな所で書いているのでご存じの方も多いと思いますが、私は幸いにも1971年、ヒカルイマイのダービーが生まれて初めて見た(テレビですが)競馬であり、そこから毎週のように観戦を続けてきました。そして老若男女を巻き込んだハイセイコーの空前のブームがその2年後にあったことは、競馬を一生の遊びとする上でこれまた大いなる幸運だったことは間違いありません。

 そんな私にとってのベストホースは、これもまたいろいろな所で書いていることですがトウショウボーイです。1976年の皐月賞、有馬記念、77年の宝塚記念を制した稀代の快速馬。有馬記念と、なんと半年ぶりで臨んだ宝塚記念ではレコード勝ち、さらにマイルのJRAレコードも保持していました。
 「天馬」と称され、日本競馬の流れをスピードシフトに変えた馬でもありましたが、そうした貢献にも増して、私の心をとらえたのは、とにかく美しい馬だったということ。その毛色、体の柔らかさ、しなやかな歩様、フットワーク、小さくて利口そうな顔、すべてが究極のサラブレッドであり、この馬を超える美しさを備えた馬は、贔屓目抜きでその後40年、見たことがありません。皆さんもぜひ、何かの資料や画像、レース映像を見ていただきたいと思います。

 彼にまつわる最大のストーリーはテンポイントとのライバル物語ですが、1977年、2度目の有馬記念でのテンポイントとの死闘があまりにも名勝負すぎて、その後の彼の非業の死も相まって、その時勝ったテンポイントの方が強かったかの印象が後世に残っているかも知れませんが、対戦成績は圧倒的にトウショウボーイの方が上であり、テンポイントが1着となってトウショウボーイを負かしたことはその有馬記念の1度だけ。どうも、トウショウボーイの伝説がほとんど伝えられていないのは、ファンとしては残念で仕方ありません。

 さらに、トウショウボーイは種牡馬としてもご存じのように4冠馬ミスターシービーを出して大成功を収め、安い種付け料で走る仔を輩出して中小牧場を救済、「お助けボーイ」の異名でも知られました。

 そしてデビュー戦では、のちのテンポイントと並ぶライバルとなるグリーングラス、さらにその後名牝となり、引退後ボーイとの間に生涯ただ1頭の子供を産み落とし、それがミスターシービーとなるというとんでもない奇跡を現実としたシービークインと一緒に走るという、まさに『伝説の新馬戦』を演出したことも忘れてはいけません。近年、この「伝説の新馬戦」という表現がネット界隈で安直に飛び交うことがよくありますが、この奇跡の新馬戦を知っている立場からすると、伝説の度合いが足許にも及ばないレベル、笑止千万という気にもなりますって(笑)。

 競馬の世界では、長く見続けて行くということは大きな財産であり、大きなメリットです。ですから、今はまだライト、あるいはミドルくらいのファン歴の方も、ぜひ競馬への興味を絶やさず、長く長く見続けていってほしいと願います。10年、20年、30年と経った時に、あなたの記憶を彩ってきた名馬を思い出す時間は、至極のひとときとなるはずです。

 さて、足掛け6年に及んだNIFTYでの連載も、今週で終了させていただくことになりました。長い間、駄文にお付き合いくださり、本当にありがとうございました。連載の最後の方に、遅ればせながら無知を恥じつつローブティサージュの事件を取り上げたことで個人的にも反響の声を頂いたことには手ごたえを感じましたし、またその後、あの事件を大きな媒体も取り上げたことで、改善に繋がった面もあったようです。競馬をよりよいものにしていくためにどうしたらいいか、ファンの皆さんそれぞれが意識を持って見つめて行くことが大事だと思います。引き続き、「月刊競馬最強の法則」などでは問題提起の連載を続けていきますので、そちらの方もぜひお読み頂ければと思います。

 皆さんの競馬ライフが実り多いものになりますように、願ってやみません。

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